大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和61(も)1 決定

主 文

請求人に対し金一二九一万二〇〇〇円を交付する。

理 由

一 本件請求の要旨は、請求人は最高裁昭和五八年(あ)第一一一二号殺人幇助

被告事件につき、昭和六〇年一二月一九日、最高裁判所において無罪の判決を受け

たものであるが、右事件のため合計二一五二日の未決の抑留、拘禁(以下、単に拘

禁という)を受けたので、その日数に応じ、一日七二〇〇円の割合による刑事補償

金の交付を求めるというのである。

二 請求人に対する前記殺人幇助被告事件の記録を調査すると、次の事実が認め

られる。

1 請求人は、昭和五二年六月二三日、「Aと共謀のうえ、Bを殺害することを

企て、昭和五二年四月二五日、岩国市内の路上において、Aが所携のけん銃でBを

射撃して殺害した」との事実により山口地方裁判所岩国支部に公訴を提起され、同

裁判所は、昭和五六年一二月二日、同事件について公訴事実どおりの殺人の共謀共

同正犯の事実を認定して請求人を懲役一二年に処した。

2 請求人は、右判決に対し控訴を申立て、広島高等裁判所は、昭和五八年六月

二三日、第一審判決が有罪とした殺人の共謀の事実を認定するには証拠が十分でな

く、第一審判決は事実を誤認したものであるとしてこれを破棄したが、審理途中で

ある同年五月三一日、追加を許可した予備的訴因に基づき、請求人は「AがBをけ

ん銃で射撃して殺害した際、その情を知りながら、これに先立ち広島市内において、

Aが犯行現場へ赴くために使用するレンタカーの借賃として現金五万円を交付し、

同人の犯行を容易ならしめて幇助した」との殺人幇助の事実を認定し、請求人を懲

役一年六月に処した。

3 右控訴審判決に対しては、請求人から上告の申立がなされ、最高裁判所第一

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小法廷は、昭和六〇年一二月一九日、請求人について殺人罪の成立を認めた第一審

判決及び殺人幇助罪の成立を認めた控訴審判決は、いずれも重大な事実誤認をした

疑いが顕著であるとして第一審判決及び控訴審判決を破棄し、さらに判決して請求

人に無罪を言い渡し、この判決は昭和六一年一月五日確定した。

4請求人は、昭和五二年六月二日、前記殺人の被疑事実で逮捕され、同事実によ

り勾留中、前記二1のとおり起訴された後、昭和五八年四月二三日控訴裁判所の保

釈許可決定により保釈されるまでの合計二一五二日間、引続き身柄を拘禁された。

三 よつて、請求人に対しては、前記二4の二一五二日間の未決の拘禁全部に

つき、刑事補償法一条一項による補償をすべき場合に該当するから、当裁判所は、

記録によつて認められる同法四条二項所定の事情を考慮し、請求人の受けた拘禁の

日数に応じ一日金六〇〇〇円の割合による額の補償金合計金一二九一万二〇〇〇円

を請求人に交付するのを相当と認め、同法一六条前段により、裁判官全員一致の意

見で、主文のとおり決定する。

昭和六一年四月二日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 角 田 禮 次 郎

裁判官 谷 口 正 孝

裁判官 高 島 益 郎

裁判官 大 内 恒 夫

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